「富山の味を東京で」グルメガレージ代表 堀竜二さんが描く飲食店の未来
written by 大西マリコ

富山県小矢部市出身の堀竜二さんが東京で展開する株式会社グルメガレージ。北陸の食材を活かしたイタリアンや富山居酒屋など、独自のコンセプトで8店舗を運営し、着実に成長を遂げています。コロナ禍を乗り越え、富山と東京をつなぐ架け橋として奮闘する堀さんに、これまでの歩みと今後の展望を伺いました。

インタビュイー:堀竜二さん
1990年、富山県小矢部市生れ。富山県立となみの高等学校卒業後、石川県の調理師学校に1年行き羽田空港のレストラン・キハチに就職し、7年後独立、現在に至る。
富山の魅力を東京で発信、8店舗の多彩な展開
――― まずは、グルメガレージの事業内容について教えてください。
当社は「北陸」と「イタリアン」、「富山」と「居酒屋」といったテーマを組み合わせたコンセプトで飲食店を展開しています。現在、東京に7店舗、小矢部市に1店舗あり、その多くが渋谷エリアにあります。
例えば、1号店の「北陸イタリアン バルッチャ、2号店の「富山×居酒屋 ヨイチャベ」などがあります。最近では中目黒に「富山×居酒屋ヨイチャベ」の系列店「ヨイチャベIRORI」をオープンしました。各店舗で北陸の食材や日本酒を積極的に使用し、富山の魅力を東京で発信しています。
――― 最近では飲食店以外の事業も始められたそうですね。
はい、最近では新しい挑戦として、ポーカーBARをオープンしました。これは飲食店とは全く異なるアミューズメント業態ですが、新しいコミュニティの場を作りたいという思いから始めました。
実は、ポーカーは経営者の間でも人気が高まっていて、接待の場としても使われるようになっています。ゴルフに近い感覚で、気軽に集まって談笑しながらポーカーを楽しむ。そんな新しいコミュニケーションの形を提供できればと考えています。
このポーカーの店を通じて知り合った方々が、私たちの飲食店も利用してくださるようになるなど、相乗効果も生まれています。飲食とアミューズメント、両方の視点から人と人をつなぐ場を作っていきたいですね。
「愛のある料理」を追求する姿勢の原点
――― 料理人としての原点について教えてください。
私の料理人としての原点は、羽田空港のレストラン「キハチ」での経験にあります。そこで出会った師匠は、私にとって父親のような存在でした。
特に心に残っているのは、師匠がよく言っていた「愛がないな」という言葉です。料理を作るとき、疲れていたり手を抜いたりすると、この言葉で叱られました。この経験から、料理に対する真摯な姿勢と愛情の大切さを学びました。
今でも私は、スタッフに対してこの「愛がある」という言葉を使っています。料理を作る際の心構えとして、とても大切にしているんです。
――― 富山県出身として、東京で富山にこだわった店舗を出されたきっかけは何だったのでしょうか?
実は、当初は富山にこだわるつもりはありませんでした。ただ、普通のイタリアンだけでは競争が厳しいと考え、差別化を図る必要がありました。そこで、以前勤めていた和食ベースのフレンチレストランでの経験を活かし、地元の食材を使うことを思いついたんです。
特に印象に残っているのが、山藤ワインとの出会いです。東京の酒屋では取り扱いがなかったのですが、直接連絡を取り、交流を深めていくうちに取引が実現しました。こうした富山とのつながりが、店舗のコンセプトを形作っていったんです。
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富山県人会との絆、地域に根ざした経営
――― 富山県人会とのつながりについてお聞かせください。
2号店の「富山×居酒屋 ヨイチャベ」をオープンしてから、富山のコミュニティとの繋がりが一気に広がりました。県人会や若手中心の「アコイコ」という会に参加する機会も増え、地元の食材や日本酒についての情報も得られるようになりました。
また、小矢部市出身ということもあり、東京小矢部会にも参加しています。こうした会を通じて、富山の方々とのつながりを大切にしています。
――― 地元・小矢部市での取り組みについても教えてください。
小矢部市商工会が地域交流拠点として開設した「める・びる」という施設で、カフェの運営を行っています。これは、地元の方からの依頼を受けて始めたものです。若者が集まれる場所を作りたいという思いがあり、利益よりも地域貢献を重視しています。
また、小矢部市のお醤油屋さん「畑醸造(ハタジョウゾウ)」の取締役も務めています。この醤油を自社の店舗や、知り合いの経営する薬局などでも販売しており、地元企業の応援にも力を入れています。
若手経営者の挑戦、富山と東京をつなぐ未来へ
――― 34歳という若さで8店舗を経営されていますが、今後の目標を教えてください。
富山コンセプトの店舗をさらに増やしていきたいと考えています。特に「富山居酒屋」という業態は、富山出身の大学生のアルバイト先としても人気があり、彼らにとって心強い場所になっています。
また、富山の食材や製品を東京で広めていく取り組みも継続していきます。例えば、先ほど話した小矢部市のお醤油を、もっと多くの人に知ってもらえるよう努力していきたいですね。
富山と東京をつなぐ架け橋として、両方の良さを活かしながら事業を展開していくことが私の使命だと感じています。これからも富山の魅力を発信し続け、同時に東京での経験を富山に還元していく。そんな循環を作り出していきたいと思います。
▼ 株式会社グルメガレージと、堀竜二さんについてはこちら!
https://www.instagram.com/ryuu2.hori/